この連載は、1年間という長期のパパ育休を取った著者が、
「育休を取って良かったと感じる事」にフォーカスして体験談を語っていく企画です。
第2回は、「育休」の「休」の部分にフォーカスした話をお伝えしようと思います。
育休は人生の棚卸しのチャンスになる
育休というと、多くの人が真っ先に「子育て」「育児休暇」というイメージを持ちます。もちろんその通りなのですが、私は実際に1年間という長い男性育休を経験して、もうひとつ別の大きなメリットがあることに気づきました。
それは、自分や家族の人生をじっくり見直す貴重な時間になるということです。
一般的に日本で働いていると、長くてもせいぜい1〜2週間程度の休暇が限界ですよね。
なかなか1ヶ月、ましてや半年以上の期間を丸々仕事から離れて過ごす機会は得られません。
私自身も、育休を取るまでの間、働き始めてからまとまった休みを取るのは年に数回程度。
たとえ休暇を取っても、「あと数日で休みが終わる」という気持ちが頭の片隅にあり、仕事のことを完全に忘れることは難しかったのです。
しかし育休の場合は違います。もちろん育児は大変で忙しいものですが、仕事という外部のプレッシャーから一時的に距離を置くことで、自分のキャリアや今後の生き方について冷静に考える時間が得られます。
育休を取り始めた頃、私は自分のキャリアの棚卸しを行いました。これまでの仕事で何を達成し、何が足りていないのか。自分の強みや、これからどんな働き方をしたいのかを改めて考える時間が取れました。こうした時間は日常の仕事に追われているとなかなか作れません。
実際にこの「キャリアの棚卸し」をしてみて、自分の中で新たな発見がありました。今まで意識していなかった新しい興味関心や、今後の働き方について具体的なビジョンが見えてきました。働く目的や仕事への向き合い方が少しずつ明確になっていったのです。
夫婦でじっくり人生の方向性を話し合える
もう一つの大きなメリットが、夫婦で自分たちの人生についてじっくりと向き合い、話し合えることです。
普段忙しく働いていると、夫婦間でゆっくりと人生設計について話す時間を取るのはなかなか難しいもの。子どもが生まれると、なおさら日々の忙しさに追われてしまいます。
しかし、夫婦ふたりが同時に育休を取ることで、じっくりと家族の未来や自分たちの人生の優先順位について話し合う機会を持つことができます。
私の場合、育休期間中に妻と何度も話をしました。「これからどこに住むのか」「どんな環境で子育てをしたいのか」「家族の中で一番大切にしたいことは何か」。日々、時間を見つけては話し合いを繰り返し、夫婦間で深く意見を交わしました。
その結果、私たち夫婦はお互いの実家のある故郷で、より自然に近い環境で子育てをしたいという結論に至りました。これは大きな決断でしたが、育休中という特別な環境だからこそできた決断だったと思います。
育児の合間のスキマ時間で新しい挑戦ができる
育児中は常に赤ちゃんに注意を向けていなければならない、と思われがちですが、実際には意外とスキマ時間があります。
娘が生まれる前は、「四六時中目が離せなくて何もできないだろうな」と想像していましたが、実際はそうでもありませんでした。赤ちゃんが寝ている数十分〜数時間の間、自分自身のために使える時間が思いのほか存在するのです。
私自身、そのスキマ時間を活用して、新しい挑戦を始めました。以前から興味があったライティングに取り組み、noteの執筆やメディアの立ち上げを少しずつ進めてきました。妻はずっと興味を持っていた資格の勉強に取り組んでいます。
このスキマ時間を有効に使うことで、育休期間が単に「育児のための休暇」だけでなく、「自分を成長させる期間」に変化しました。忙しい育児の中でも自己実現が可能であることを実感し、自信やモチベーションも高まったのです。
男性育休が家族に与える真の価値とは
男性が育休を取るメリットは、単なる育児という枠を超えています。仕事を一時的に離れることで、自分のキャリアや家族の将来について深く考える時間を得ることができるのです。
そして夫婦で同時に育休を取ることができれば、家族としての大きな決断や人生設計を話し合う機会にも恵まれます。
私自身、1年間という長期の育休を経験して、人生の視野が大きく広がりました。キャリアへの新たな意欲も湧きましたし、家族との絆も強くなったと感じています。
男性育休は決して「特別」なことではなく、家族全員が幸せになるためにとても合理的で意味のある選択肢です。ぜひこれから育休を考えるパパたちには、この「人生を見つめ直す時間」を経験してほしいと思います。
人生の新しいスタートラインに立つきっかけを与えてくれる男性育休を、ぜひ多くの方が前向きに検討されることを願っています。
それでは、また次回お会いしましょう!