お互いに“ワンオペ”を回し合うメリットとは?
「ワンオペ育児」というと、“すべての育児を一人で抱え込む”というネガティブなイメージが先行して、メディアでも取り上げられることがあります。
しかしここで言う“ワンオペ”は、夫婦それぞれが育児をひとりで行う時間帯を意図的につくるというポジティブな意味合いをもっています。
つまり、長時間ではなくても“短いスパンで交互に赤ちゃんをみることで、お互いが外出やリフレッシュの時間を確保しやすくなる”のです。
実際、筆者の家庭では、赤ちゃん1人に対して大人が2人(筆者・妻)の状態でした。
育休期間中は基本的に二人で赤ちゃんのそばにいますが、お互いがやりたいことや外出の予定があれば、あえて「ワンオペタイム」を作るようにしていました。
たとえば、妻が数時間出かけているあいだは夫が赤ちゃんを担当し、逆に夫が出かけているあいだは妻が担当する。そうすれば、どちらか一方が常に一人で子育てに張りつく必要がないため、自分の時間を確保しやすくなります。
また後述しますが、ワンオペも赤ちゃんとの「絆」を育む大切な時間です。
育児に追われていると、なかなかゆっくりした時間が取れなかったり、まとまった休息がとれず心身ともに疲弊しがちです。しかし、ワンオペを“交替制”にすることで適度に息抜きができ、育児へのモチベーションや体力を持続させるのに役立ちます。
お互いに休むことが育児のパフォーマンスを高める
「育休を取ったのに、自由時間をつくったり、休みすぎじゃないの?」なんて心配をする人もいるかもしれません。しかし、適度な休息があるからこそ、育児や家事へのパフォーマンスが向上すると考えてみてください。以下のような効果が期待できます。
- ストレスの軽減
育児は楽しい反面、思うようにいかない場面も多々あります。睡眠不足やホルモンバランスの乱れでイライラしがちな時期に、休みなくワンオペが続くとメンタル的に追い詰められてしまうことも。そこに上手なリフレッシュ時間を挟めると、ストレスを溜めにくくなります。 - 夫婦間のコミュニケーションが円滑に
お互いの気持ちに余裕があると、自然と優しい言葉遣いや思いやりが生まれやすくなります。逆にどちらかが休めずに苛立っていると、ちょっとしたすれ違いでも大きなケンカに発展しかねません。リフレッシュ時間を取り合うことで、夫婦関係全体の雰囲気が良くなりやすいのです。 - 赤ちゃんとの向き合い方に集中できる
自分のやりたいことや用事が溜まったままだと、どうしても赤ちゃんと接する時間にも気が散ってしまうことがあります。先に自分の用事や趣味などでリフレッシュを済ませれば、「今は赤ちゃんと遊ぶ時間に集中しよう」と切り替えやすくなるメリットがあります。
“ワンオペ”の時間が生む、赤ちゃんとの濃密な関係づくり
「ワンオペ育児」という言葉にはネガティブな印象がつきまといがちですが、実は“二人で育てているからこそ味わえるワンオペ”は大きな価値があります。夫婦で常に協力しあっているとはいえ、やはり「一対一でじっくりと向き合う」時間というのは、赤ちゃんとの関係を深める大切な機会です。
- 赤ちゃんの表情や仕草に敏感になる
夫婦が常に一緒にいると、育児の役割分担や作業が流れ作業のようになってしまうことがあります。ところが、一人で赤ちゃんを見ていると、ミルクやオムツ替え、あやし方などすべてを自分で考え、実践しなければなりません。その過程で赤ちゃんの些細なしぐさや変化に気づきやすくなり、「今こんな表情をしているのはお腹が空いているのかな? 眠たいのかな?」と考えることが増えます。 - 責任感や愛着が増す
夫婦二人でいるときは、何か分からないことがあれば相手に聞けばいいし、お互いに補助しあえる安心感があります。一方、一人で面倒を見る状況だと、すべてを自分の判断で対処しなければなりません。その責任感から「もっと赤ちゃんのことを知りたい」「自分がちゃんと守らなきゃ」という意識が自然と高まり、愛着が深まる感覚を得られます。もちろん責任があるということは、うまくいった時に自信もつきます。 - 自由な発想で育児を試しやすい
パートナーと一緒にいると、「こうしたら相手はどう思うかな?」「このやり方、通用しないかもしれないな」と無意識に考えてしまうことがあります。ところが、ワンオペの時間なら他者の目を気にせず、赤ちゃんと自分のペースで試行錯誤ができる場合があります。たとえば独自のあやし方や、赤ちゃんとの遊び方をいろいろ工夫してみることも可能です。意外な発見があるかもしれません。
夫婦間のバランス調整を忘れずに
もちろん、一方的にどちらかだけがリフレッシュを楽しんでいる状況になると、不満や不公平感が募り、夫婦の関係にヒビが入る可能性もあります。大切なのは、「お互いにリフレッシュの時間を平等に持てるように意識する」ということです。以下のようなポイントを参考に、うまくバランスを取りましょう。
- 事前に予定を共有する
- 「今度の週末は2時間、カフェに行きたい」といった予定を早めに相手に伝える。
- そのうえで「○日の午前中は自分が見るから、午後はあなたがどうぞ」というふうに調整しておくと、当日のトラブルが減ります。
- 定期的に“フェア”かどうか見直す
- 「最近ちょっと私ばっかり外出しているかも」「自分ばかりが家にいるような気がする」と思ったら、都度話し合って微調整する。
- 感情的にぶつかる前に、小さな違和感の段階で解決策を模索すると揉めにくいです。
- 相手の提案にも積極的に応じる
- 自分がリフレッシュしたいばかりではなく、「相手は何かしたいことない?」「今度どこか行ってきたら?」と相手にも誘いかける。
- 「自分だけ楽しむのではなく、相手にも等しく楽しんでほしい」という姿勢が大切です。
まとめ:男性育休のメリットを最大化する“交代制ワンオペ”という考え方
男性育休を取ったからといって、24時間常に夫婦揃って赤ちゃんを見続ける必要はありません。むしろ、片方が赤ちゃんと二人きりでじっくり向き合う時間と、もう片方がリフレッシュに専念できる時間をバランスよく回すことで、育児がより充実し、結果的に赤ちゃんへの愛情も深まるのです。
- ちょっとした外出から数時間のカフェタイム、あるいは半日がっつり遠出して好きなことをするなど、やり方はさまざま。
- お互いが合意していれば、“育休中なのに遊びすぎ”と罪悪感を抱く必要はありません。むしろ、適度な遊びや息抜きは育児パフォーマンスの向上につながるのです。
- “ワンオペ”というとネガティブな響きがありますが、二人でうまくローテーションしていけば、“赤ちゃんとの時間”も“自分らしさを取り戻す時間”もどちらも大事にできます。
シリーズ第4弾としてお伝えした「お互いにリフレッシュの時間を取ることができる」という男性育休のメリット。産後の体力的・精神的な負担が大きい時期だからこそ、二人で協力してバランスよく休息を取りながら子どものお世話をするのが理想的です。ぜひ参考にしていただき、家族みんなが笑顔で過ごせる育休生活を目指してみてください。
今後も、男性が育休を取ることで得られるメリットや、実際の体験談を通じて感じたことをシェアしていきますので、興味のある方はぜひシリーズの他の記事もチェックしてみてください。
育休期間はあっという間に過ぎますが、その使い方次第で家族の関係が大きく変わります。
お互いを思いやり、サポートし合いながら“交代制ワンオペ”でリフレッシュ時間を持ち、心身ともに健やかな育児生活を送っていただければ幸いです。